2010年4月6日火曜日

後ろを振り返ってみるとき

私がアラブに興味を持った最初の芽は、湾岸戦争だったかもしれません。
当時はアラブに興味がというより、異教徒界に介入する欧米にびっくりしたって感じでした。
「宗教が違えばものの考え方も違うだろうに、武力で善悪を押しつけていいんだろうか?」と思ったことを、覚えています。
でも詳細はなんにも知らなかったし、今も知らないままです。経緯を軽く流し読もうと思っても、人名がわけわからないので意味がつかめなかったんですよ。

9・11は、もっと興味が薄かったです。
大国を行き来している国際人や経済人なら「あのWTCが!?」というショックがあったでしょうけれど、
私は「えっ!あのWTCが!?…あ…なんだ違うのか」、と。
大阪にもWTCと呼ばれる建物がありますのでね。
なんだか異国の天災みたいな感覚だったんです。

あの同時テロに関しては、イスラム教一派のしわざという話もあれば、いやUSAの罠だという話もあったし、サウジアラビアとアメリカ経済界の一部が結託してとかユダヤの血族が裏でどうこうとか、いろんな話が錯綜して、ほんと何がなんだかわかりません。
そんなもん、なんの力もないちっぽけな一日本人に何ができますか、私の知ったこっちゃないって感じでした。
マスコミは一時期、日本も自爆テロのターゲットになると騒いでいましたけれど、日本で自爆することにどんなメリットがあるのかと私は首を傾げていましたし、実際、日本国内で自爆テロ事件は起こりませんでした。
各国で繰り返された自爆事件には胸を痛めていましたけれどね…。巻き添えをくった方々を悼む気持ちはもちろんのこと、自爆した本人は、いったいどれほど思い詰めた志があったのだろうと。手記があるなら読んでみたいものだと。

一年前病気で寝込む日が続いたとき、枕の友として選んだ本が、東野圭吾と『女帝エカテリーナ』と『王妃エリーザベト』と『コーランを知っていますか』でした。
『コーランを知っていますか』は、たまたま女帝本の近くにあったのを見て、「そういえば湾岸戦争もテロもこのあたりを勉強しなきゃ理解できないんだろうなぁ」と手にとったのが始まり。
面白かったです。
イスラム教の、毎日5回だか6回だか礼拝する習慣というのを知って、スゴイなと思いました。これは、自分が自分に課す洗脳だなと。
そのたびに身を清め、体を動かし、唱えるのですね。
私は、病気で寝込んでだらだらと生活リズムが崩れていたこともあり、イスラムの戒律のように自律的生活への憧れの気持ちが自分の中にあることを、初めて意識しました。
入信したいとは決して思いませんでしたけれど、見習いたいところが多々ある文化だと思いました。

その本に書いてあったのです。
コーランの原語は美しいと。
私はジャズやクラシックやバレエやミュージカルが大好き。詩的で芸術的とまで言われたら、じゃあ読んでみたい、と思うじゃないですか。
それならアラビア語を勉強しなければ。
というので『テレビでアラビア語』を眺めました。
半年かけて「ラー」だけ覚えました。
次の半年に「ナアム」と「シュクラン」と「イラッリカー」だけ覚えました。
先は長いですけど、気にしていませんでした。
必死になるほど切羽詰まってるわけでもなかったので。

その間、ネットで目にした話があります。
イスラム教では、豚肉とアルコールが禁じられているはずなのに、来日したイスラム教徒は豚肉も食べるしお酒も毎晩飲んでいるという。
そんなんでいいの?と聞いたら、アッラーはその土地その民族に合わせた生活を認めてくださってると。
ときには「こんな遠い国まで神様は見テナイネー」と冗談めかして答えた教徒もいるとか。
そういう話が異口同音に、しかも好意的に語られているのを、あちらこちらで見ました。

なんと寛容性の高い宗教!
私の中のイスラム教イメージは、ここに集約されたのでありました。
これは仲良くなれそうな人たちだと、楽しくなりました。

テロ?
『コーランを知っていますか』からも、豚肉を食べるイスラム教徒の話からも、『テレビでアラビア語』からも、そんなオーラは感じ取れなかったです。
テロとイスラム教って、あんまり関係ないんじゃないか。たとえば、多くのイスラム教徒にとっての自爆テロって、日本人にとっての赤軍とかオーム真理教みたいなものなんじゃないかなぁ。
いつのまにか、そう思うようになっていました。

そんなある日、弟が輸出品の表示作業に困っていると私に話しました。
日本語・英語・中国語・韓国語・フランス語に加えて、最近はアラビア語の注意書きも並べなきゃならないのだと。
でもアラビア語のわかる人間なんていない。
ネットの翻訳で無理矢理やってるんだけど、どうもおかしい。文章が成り立ってるのかどうなんだか確認のとりようもない。
会社は予算がないからと、正規の翻訳ソフトを買ってくれない。
駄文を提出しても、取引先からはクレームも来ない。
要するに、アラビア語のわかる人間が一人も介在せずに輸出してるんだと。
あら、私アラビア語少しやってるのよ。と言ったら、
えぇ~!?とびっくり。
でも単語数えるほどしか覚えてないけどね。ちなみにアラビア語は右から読みます。知ってた?
えぇ~っ!?
苦笑するしかないね、それ。
アラビア語のサイトでさぁ、輸入品のヘンテコ表示集とかって、その駄文アラビア語の写真撮られて、掲載されてるかもしれないよね。
私たち、中国・韓国からの輸入商品のヘンテコ日本語を笑えないんだねぇ(タメイキ)

そんな弟の力になれることが、なにかないかなと、2~3日ネット検索でウロウロして何も得られず。

その時に出会ったのが、マナルさんの『アラびいき』でありました。
はまりましたよ。
アラブへの興味がむくむくと頭をもたげ。
もっと知りたい!
もっと学びたい!
私の中で何かが爆発したのでありました。

そうして一週間後、『アラびいき』を全部読み終えた私は、このブログを立ち上げることになります。

2 件のコメント:

  1. 少し古い記事ですが・・失礼します^^;いつもコメントありがとうございます。こちらのHPをちょこちょこ読ませてもらってますよw
    しかし・・このブログを立ち上げるきっかけになったのが私のブログだとは感激です。
    私も・・自分のブログを立ち上げるきっかけというか。。
    私がアラブのことをマンガにしようと思ったきっかけを
    くれたブログがありましたが・・今は、残念ながら
    無くなってしまいました。
    私も、自分のブログを見て、アラブに興味を持ったと
    言う方が最近周りにもチョコチョコふえてうれしい限り
    なのですが、そんな私でも、アラブについて語ってくれるそして
    アラビア語を勉強する意欲を応援できると思える人が
    増やせたことにうれしく思ってます。
    これからもブログともどもよろしくお願いします。

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  2. まいどです~。
    そう、『アラびいき』の存在がなかったら、今も私は「はい」「いいえ」「ありがとう」「さようなら」…そのていどのアラビア語からほとんど進歩することはなかったでしょう。
    あのマンガは、まるで、ヘレンケラーが「water!!!」って叫んだときみたいな衝撃だったんですよ。
    それほどに、これまで身の回りにアラブの匂いというものをまったく感じない生活をしてきたということなんですが、そういう日本人はまだまだ多いです。
    『アラびいき』は、そんな人々に向けてアラブの魅力を発信し続けているんですから、貴重な存在ですね。
    こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。

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